結果に結びつかない行動は意味がない。 ー 赤坂 優


AngelBaseによる、エンジェル投資家インタビュー第二弾は、赤坂優さんです。

赤坂優さんは、2008年に起業し、株式会社エウレカを設立。同社が開発した「Pairs」は、日本と台湾で500万人以上が利用する恋愛・婚活マッチングサービスに成長。400万ダウンロードのカップル向けコミュニケーションアプリの「Couples」も手がけています。2015年5月、米国ニューヨークを拠点に「Match」や「Tinder」や「Vimeo」などのサービスを運営するIAC(InterActiveCorp)にM&Aされました。昨年、代表を退き取締役顧問に就任しています。




幼少期の「勉強もスポーツもできる優くん」から、「プライドの高い赤坂優」が形成された

ー エウレカを創業したきっかけは何ですか?

起業のきっかけをどの粒度で話すか迷ったのですが、自分という人間の基礎が形成された幼少期の体験が結構大きいと思います。

小・中学生の時は、足も速くて運動は何でも得意で、ずっと進学塾に通っていたので、勉強もできたんです。小学生の時って、地頭が良い悪いではなく、単純に勉強の「量」が多い子の方がテストの点は取れるじゃないですか。さらに、美術や音楽も得意で、本当に何でも。

そういう幼少期だと、「プライドが高い赤坂優」が形成されていくんですよ。これ、代表取締役を退任した後に、「これからどうしようかな」と思いながら自己分析をしてる中で、振り返って気づいたことなんですが(笑)

ー(笑)では、結構最近気づかれたのですね。

そうですね。
「プライドが高い」 っていうのが、幼少期から形成されてきたんですけど、高校からは、ずっとやっていたサッカーでも、Jリーグのユースの子が同世代で出てきたりするじゃないですか。勉強でも、センスの良し悪しみたいなのが成績に影響を出すようなってくるんですよ、多分高校生くらいから。
その頃から「勉強でもスポーツでも、1番になれないな」となんとなく感じ始めたんですよね。
そこで、サッカー部を辞めて、今度はバンドを始めたんですけど(笑)

プライドが高くて目立ちたがり、でも自分に不満を抱えていた

ー そんな感じの高校生だったんですね、意外です(笑)

見た目も、当時は相当チャラチャラしてたんですけど、それはとにかく「目立ちたかった」んですよね、今思えば。そういうのを振り返ると、「プライドが高くて目立ちたくて、周りを引っ張っていたい」という思いが根本にあったんですが、同時に、「自分は何も結果を出せていない」っていうのをずっとどこかで感じていたんですよ。
理想は、小学生の時の、「勉強もできて、スポーツもできる優くん」なんですけど、大きくなればなるほど、その道のプロが次々と現れ、全然競争相手に勝てていない自分もいるから、その理想と現実のギャップにめちゃくちゃフラストレーションを抱えていたと思います。

社会に出るタイミングで、もともとファッションがとても好きだったので、アパレルの会社に就職しました。当時は、「デザイナーズブランドをやっていきたい」と思うくらい、ファッションが好きだったんです。でも、結局そのアパレルの会社は内定者バイトを1ヶ月してみて辞めたんですけどね。

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ー 1ヶ月!早いですね。さすが、スピード感があるというか。

幼少期から感じていた理想と現実のギャップがある中で、社会に出るタイミングに「何か大きい勝負をしていかないとダメだな」って漠然と思っていたんですよね。

当時のアパレル企業は、IT化が非常に遅れていて、僕が内定をもらった会社も、1つのチームでPC1台、という状況でした。
大学時代からヤフオクで洋服を売りまくっていた僕としては、「この業界にいたら、世の中の流れから取り残される」と危機感を持ってしまったんです。

で、内定を辞退し、また就活のし直しになるんですが(笑)

その時、僕は2006年新卒だったんですが、ちょうどサイバーエージェントが上場後に、新卒を50〜60人採用し始めている頃だったんです。それまで10人くらいしか新卒採用をしていなかったのに、すごい勢いで成長している企業だな、と。さらに藤田社長が本を出したり、女優との結婚という華々しい「スター街道まっしぐら」みたいな状況を目の当たりにするわけですよ。

その時に、「IT業界」と「経営者」というものに興味を持つようになりました。

人生も1回きりしかないし、このままだと負け犬だし、リスクを負わないといけないな、チャレンジするなら独立して、企業を運営していく経営者の立場になるしかないなって、思ったんです。

大変なことももちろんたくさんあると思ったんですけど、谷が無いと山もつくれないじゃないですか。だから、「24〜25歳くらいで1回ヘコむ分には全然余裕でしょ」と思って。どうせ新卒で企業に入っていても、一丁前の扱いされるのなんて、20代の後半からだし、大企業だと35歳になってもまだ「ルーキー」と言われるだろうし。それに比べたら、起業した方がよっぽど成長は早いはずだ、と何となく思い始めたのは、そういうきっかけがあったからです。

起業のきっかけは、社内新規事業の立ち上げだった

ー なるほど。一度企業に勤めてからそう感じるようになったんですね。

その時、イマージュ・ネットというアパレル通販会社に就職して、ECサイトの一部をメディア化して広告営業をやっていたんですけど、「きみ、営業がそんなにできるなら、営業数字上げながら、ネットビジネスの新規事業やってよ」と経営陣に言われて。それで、当時のシリコンバレーのサービスをめちゃくちゃ調べたんですよね、400個くらい。当時、日本でいう「はてブ」みたいな「Delicious」っていうソーシャルブックマークサービスがあったので、直近でブックマーク数が急激に伸びたサービスを調べてました。
その中の1つに、クラウドソーシングのサービスがあって、「今まで外注に頼ってやっていたものが、クラウドソースに変わるんだな」と思い、日本でもこれを始めてみようと、その会社に在籍しながらつくり始めました。会社の新規事業としてではなく、「これ、絶対自分でやった方がいいな」と思って、就業後の「深夜プロジェクト」として仲間と作り始めた、という感じでした。

ー そういう順序だったんですか。登記せずプロジェクトとして始められたんですね。

でも、途中でGMOペイメントゲートウェイで決済するときに、法人登記が必要と分かって、登記したのが今のエウレカですね。それが2008年の11月です。

前職の上司を引き抜き、役員をメンターに

ー ちなみに、共同創業者の西川さんとはどのように出会ったのですか?

西川は、イマージュ・ネットで、僕の広告営業チームのマネージャーだったんです。引き抜きですね(笑) 新規事業を始めるという時に「これ、やるんだったら自分たちでやる方が良いね」って話して、当時目黒のアルコタワーの2Fのオフィスで、「俺、今○○万くらいの給料だけど、西川さんはもっともらってますよね。それ、捨ててでもやります?」「ここまで来たらやるしかないでしょ」って深夜に話していたのを今でも覚えています。

ー 上司を引き抜いてきたんですね、すごい。当時、メンターやよく相談していた方はいましたか?

その前職のイマージュ・ネットで営業を頑張っていたから、そこの役員たちに話を聞いてもらっていました。

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ー え、辞めたのにですか?スピンアウトしたのに?

すごく良い人たちに恵まれていましたね。普通に会社に雇われていて、新規事業考えてよって言われて、リサーチしてたのに、「これ、自分たちでやりたくなっちゃったので会社辞めたいです」ってワガママ言ってるんですもん。しかも、起業するなら、最初こういうことを気をつけたほうがいい、とか、いろんなことの相談に乗ってもらいました。

で、とりあえずそのクラウドソーシングサービスをリリースしてやり始めたんですよ、会社勤めしながら。でも、売り上げは毎月2万円。そんなんじゃ、僕も西川も暮らせない。だから「起業するために辞めよう」と思ってたんですけど、辞められない。でも、もう起業したくて仕方ない。

そこで、「今、イマージュで僕たちがやっているメディア事業を切り出して、僕が作る会社に業務委託して変動費化しませんか?」って提案して経営陣からOKをもらったんです。
当時3年目だけど会社や事業部のPL数字も見ていたので、メディア事業の売上とコスト、利益は当然全て把握していました。
そして、売上の7割は僕が営業として取ってきていた案件だったので、僕がやめたら、どのみち会社の売上は下がる。一方で、コストだけは残るので、事業としてはマイナスになる。
でも、僕の会社に外注にしたとして売上が多少減少しても、コスト分が大幅にカットできれば利益はかなり増えるので、メリットしかないですよね、という提案。

その提案が通ったおかげで、エウレカの初年度売上が1,800万円くらい見込めたので、僕と西川の2人だったら、全然食べていけるし、社員も雇えるね、となり、独立しました。

その会社の役員たちには、本当に可愛がってもらっていましたね。当時、僕は新卒3年目だったので、上場企業の役員の人たちが新卒2〜3年目の従業員と飲みに行く意味って、基本的にはあんまり無いと思うんですが、彼らに可愛がってもらっていたので、よく夕飯に連れて行ってもらって、そこで相談に乗ってもらったりしていましたね。

起業のいろはを教えてくれたメンター

ー すごい、そんな交渉までされたんですね。アドバイス等も受けられていたんですか?

そうですね、応援してくださっていましたし、色々と教えてもらいました。例えば、お茶に連れて行ってもらった時に、「会社の作り方が分からないです」っていう初歩的な質問をしたら「そんなの登記すれば良いんだよ」とか「自分の口座から会社の口座に資本金を振り込まないとダメだよ」など、本当にアホかっていうくらい基本的なことから教えてもらいました。起業当初は、その役員にも株を10%くらい持ってもらっていました。

起業したばかりの時は、キャッシュが無かったので、国民金融公庫から200万円を借り入れしたんですが、その保証人にもなってもらいましたし、借入のために将来のPLが必要だったのでそのレビューもしてもらいました。
僕が売上に対してコストをあまりにも計上していないから、「本当にこんなに利益出るの?」「お役所の人たちは、こんなにコストが掛からなくてこんなに売り上げがでるビジネスなんてありえないと思うだろうから、コストもうちょっとつけた方が良いよ」っていうアドバイスをもらったり。このとき僕は24歳でした。

ー 資本を10%持たれてたということは、ある意味その方が(エウレカにとって)エンジェル投資家のような立ち位置だったということですね。

そうですね、ただ、当時はエンジェル投資という概念がそもそもあまり無かったですし、その人も独立されて自分の会社を経営されていたので、初期の頃にメンター、お助けとして入ってもらっていたんですけど、2年後くらいに株を彼から買い取りました。なので、最終的には赤坂・西川だけで株式を100%保有したまま、M&Aに至りました。

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初めての投資はCVCから

ー では、赤坂さんがエンジェル投資を始められたタイミングはいつですか?

エンジェルという点では売却後からですが、実は2012〜2013年の頃に、「エウレカベンチャーズ(現:31ベンチャーズ)」というベンチャーキャピタルをつくったんですね。その主目的は、アメリカのデーティング企業に投資をするというもので、向こうの最先端のマーケティングの結果を全部吸い込もうと思って、小規模なマイナー投資をやっていこうとしたんです。そこでニューヨークの1社に投資したんですが、それ以降、「そんなことよりも本業だよね。苦笑」という感じになって、結局その1社しか投資しなかったんですけどね。

ー なんと、CVCを立ち上げていたんですか。では「投資」という点においてはそれが始めてだったんですね。

そうです。そのCVCの資本構成は自分:80%、西川:20%なので、そのニューヨークの会社は、今の自分たちの個人ポートフォリオの一つに入っています。
本格的にエンジェル投資を始めたのは、2015年5月のM&Aの後の7〜8月くらいからでしたね。もともと、その当時、従業員が100名弱いて、サービスが月商2億円くらいまでになってたから、若手の起業家たちからは、ある程度相談を受けていたので、ランチをしながら「〜はこうプロモしてるよ」「マネジメントはこういう悩みが出てくるよ、そのうち」「評価制度はこう変えていった方がいいよ」というアドバイスをしていました。エンジェル投資はこれの延長なんで、事業とか組織についての援助以外にも、資金のサポートも始めてみようかな、という感じで2年前くらいから始めました。

ー 公開している投資先はどこですか?

公開しているのはSmartHR、エブリー、Wondershake、AnyPayあたりです。全体で14社投資していますが、公開しているこれらの会社は、自分が代表取締役じゃなくなってからの投資先ですね。エグジットしている会社もまだ無いです。

ー 海外の企業にも投資されていますか?

海外は2社あります。1社は、先ほどのニューヨークの企業で、もう1社はトルコのスタートアップです。日本のとあるVCさんからの紹介でしたね。VCからの紹介も時々ありますし、LP投資もやっています。

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一発目で当たるのが当たり前じゃない。見ているのは、起業家が「諦めないかどうか」

ー 直接起業家から問い合わせがくることも多いと思いますが、その中で起業家のどういうところを重要視されていますか?

まず、会うか会わないかでいうと、ほぼ会います。Facebookのメッセンジャーで突然連絡がくるのは構わないんですが、メッセージの文面がちょっとな・・・と感じる方以外は会っています。会ってからは、マーケットのサイズとか、その事業の勝ち筋とか、経営者だけでなくその他のメンバーについてとか、経営者の過去のキャリアと今の年齢、資本構成を見ます。例えば、メンバーでもないよく分からないおじさんが株を70%持っているとか、あるじゃないですか。

ー あるあるですね・・。

資本構成においては、社長がちゃんと過半数以上持っていて、共同創業者2、3人が数%ずつ持っている組織かどうか、とか。あとは、起業家本人と、やろうとしている事業のフィット感とかも見ているんですけど、一番重要視しているのは、起業家としての粘り強さというか、執着心みたいな。簡単に言うと、「諦めないかどうか」。何でそこを見ているかと言うと、スタートアップって、正直今始めるものが成功するかどうかなんて全く分からない。3年前に会社を始めて、会社名はこれでサービスはこうだったんですけど、今は全然違うこっちをやっています。っていう人はたくさんいるし。

ー 赤坂さんも何回かピボットされていましたよね?

そうなんです、うちもまさにそれでやってきたので、一発目で当たるのが当たり前じゃないと経験で分かっているから、その起業家が、どれだけ良い事業プランを持っていたとしても、何らかの要因でダメになった時に、別のサービスに変えてでももう一度這い上がっていけるかどうか、っていうのが、最終ジャッジポイントです。「この人に掛けて失敗したら、別にしょうがないや」と思えたら楽ですし。だから、事業プランはもちろん熟考はするんですけど、それよりも「人」を見て、その創業者と、そのチームに投資できるかどうかを見ています。




最終ジャッジポイントは、休日ランチに呼び出されても嫌じゃないか

仲の良いVCの担当と話をしていて、しっくりくる表現があったんですけど。
「休日に、ランチに呼び出されても行くのが嫌じゃない人か」
オンビジネスの関わり合いで、平日の1時間のミーティングだったら良いよ、というビジネスの枠を出ない付き合いなのか、土日でも「赤坂さん、これ、ちょっと見てもらっても良いですか?今、恵比寿にいるんですけど」の連絡に「あ、じゃあ15分で行くわ」くらいの距離感で関われるかどうか。自分が「この人に呼び出されても苦じゃ無いな」って思えたら、結構近い距離で今後もやっていけるんだろうなと思っています。人と人ですからね。

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事業の解像度を高くするために必要なのは、因数分解

ー 投資をした中で、この人は優秀だなと感じる起業家・経営者はどんな人ですか?

みんな尊敬していますが、その中でも特に、僕はエブリーをやっている吉田大成さんを尊敬していますね。

ー 具体的にどういったところですか?

事業を成功させていくためには、事業の解像度を高くしていかなきゃいけないんですけど、吉田さんは、その過程において必要な因数分解が得意な方だと思うんです。
例えば、「(お水を指して)これって何でできているんだっけ」っていう時に、ペットボトルとお水とキャップでできていて、お水ってどんな成分でできているんだっけっていう話なんですけど。
「この事業を成功させるためには、aa要因とbb要因とcc要因があって。aa要因を成功させるためには、xxとyyとzzがあって」ってものすごく細かくなると思うんですよ。
元々僕は営業だったので、目標達成の方法って、期末の段階で売り上げ達成が100%だったとすると、まず150%を目指しにいく。それでちょっと落ちても120%で達成できるのが理想なので。その場合、150%をこの期間で無理なくやるために必要な、月単位と週単位とデイリー単位の目標設定がでてきて。そこに必要な因数分解ができればできるほど、成功確率が上がると思うんですよ。それが吉田さんはすごく得意な方だと感じるので、ただただ凄いなぁと思っています。

ー なるほど、何事も因数分解は大事ですね。

もう1人挙げるとすると・・やっぱり皆それぞれ凄いんですけど、Wondershakeの鈴木くんは、元々付き合いも長いんですが、投資してより密接に関わるようになってから思うのは、何て言うんですかね、ジジ転がし?

ー えっ?どういうことですか?!(笑)

例えば、僕とかはもうジジイ領域な気がしてるんですけど「この人たちにどういうアプローチをしたら、相手も嫌がらず、気持ちよく、回答しようと思うか」という接し方が上手くて。投資してもらって、資金援助は一旦終わってるじゃないですか。じゃあこの人から、キャリア面で、組織戦略において吸収しようと思うのか、事業の解像度を上げるKPI設定のところについて学びたいのか、プロモ戦略においてCPIの値を下げる方法を知りたいのか、っていっぱいあるはずで、投資されている側も「この人ならこれが得意」っていうのがきっと何となくわかっていると思うんですよ。彼は、この人からはここの分野を吸収しようっていうカテゴリー分けと、適切な質問力と、質問が返ってこなくても相手を不快にさせないリマインド力が、恐ろしく得意な方だと思うんです。鈴木くんは、僕が既読になっているのに数日メッセ返信を忘れていると、スタンプだけ送ってきたりするんですよね、「ドアの隙間から覗いてる」スタンプ。わかります?

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ー「チラッ」みたいなやつですよね(笑)

そうそう。それがくると、焦って返す、みたいなこともよくあります(笑)
そういうのって、その人のキャラもありますけど、上手いなぁって思うんですよね。これ、僕が次に投資を受ける側になった時に使おうって思っています。

ー 投資の際には結構厳しく見て投資されていますか? また、どのくらいの頻度で投資していますか?

そうですね、最近は会う数も増えたので。頻度で言うと、だいたい1、2ヶ月に1社くらい投資しています。期間が空くときは空きますけどね。

ー では、1件あたりのサイズ感はどんな感じなんでしょうか?

ミニマムで1,000万ですね。大きくて5,000万です。
単価を大きくというのは、より気をつけてますね。手当たり次第に、というのではあまりないのかなぁと。ただ、僕はSeedにいれるというよりは、シリーズAくらいが中心。SmartHRもエブリーもシリーズAですし、Wondershakeにいたっては、ほぼBですし。

ー これから、こういうジャンルに投資したいっていう思いはありますか?

今まではBtoBもBtoCもあまりこだわりなく見ていましたが、これからで言うと、不動産・金融・医療・ものづくりをしているメーカー。この4つはレガシーな業界なので、非常に興味深いなぁと思っています。リプレイスやディスラプトされたときに、すごく規模が大きいので、関わりたいなと思っています。

ー こういった興味分野については、普段あまり発言はされていないですよね?

はい。エンジェル投資についてはあまり発信したことはないです。

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会いたい人には積極的に会いに行く

ー 先に挙がっていた会社とは、どうやって出会ったんでしょうか?

会社によって違うんですが、エブリーは自分から声をかけました。
料理×動画はくるなぁ、と思っていたときに、ぜひお会いしてみたいなぁと思い、B Dash Campの会場で代表の吉田大成さんをナンパしました。よかったら今晩お食事にいきませんか?と(笑)

ー 投資先との関係性ってどんな感じですか?

正直、全然会ってない会社もあります。頻繁に会っている会社は、やっぱり相談の仕方がうまいですね。頻繁にメッセが来ますし、頻繁にタグ付けされますし。
Facebookグループなどで、『こういう点とこういう点について悩み事 @赤坂さん』のようにタグ付けをしてくる起業家もいます(笑) そうするとプッシュ通知が飛んできますからね。最近だとメッセンジャーもタグ付けできるようになりましたしね。

ー 投資先へのサポートは具体的にどのようなことをしていますか?

会社によって、起業家によって全然違います。
例えば、小規模の会社であればあるほど、事業をスタートしてからの期間が短いので、事業の解像度を上げていくうえでの、サービス作り、サービス設計、Product Market Fitできるか、ユニットエコノミクスをどうやってつくっていくか、などを話す機会が多いですね。

中規模な会社になると、組織面が多いです。例えば、マネージャー職の評価、こういう人材を採用したいだったり、採用におけるPR・見せ方だったり、社内の意思統一・意識共有、目線をあげるための全社会議のコンテンツの作り方とか。あとは、スタートアップとはいえ、その会社の中で何らかの自己承認欲求をもって働いているわけなので、そこにフィットする評価制度のスキーム、などですね。今まで自分たちが、2人の会社から140人の会社になる過程で経験してきた、あの時やってよかったこと、失敗したこと、などを共有しています。

ー 採用面でも手伝ったりしていますか?

はい。例えば、エウレカの退職者のフリーランスのエンジニアやデザイナーを紹介したりしてます。僕が一緒に働いたこともあるので、紹介しやすいですね。

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とにかく社員に注意を配る

ー 赤坂さんは、『人』をとても大事にされてますよね。

僕自身がマイクロマネジメントを結構やってきて、相方の西川がマクロのマネジメントスキームを考えたりしてました。両者やったものを試してみてうまくいったものを支援先に注入できたらなぁと思っています。
一方で、失敗したのも沢山あります。こういう評価をしたから、今こういう会社になっていて、それが会社の成長のボトルネックになっている、ということもあったりするので。そういった知見も共有しています。

あとは、経営者の性質にもよりますね。年上をうまくマネジメントできるタイプか、年下をうまく動かせるタイプかで違う。年下中心になってくると若い組織になって未熟な部分も増えるので、中間管理職が育ちにくかったりします。

一方で、中途を採用しすぎると、スタートアップ/ベンチャー感が消えていき、大企業っぽくなっていってしまったりもします。例えば、今年のPLをつくる際、事業部の目標設定をマネージャーに任せると、その目標数値が去年実績の1.2倍くらいまでにしかなっていない。「一昨年から去年は200%成長したのに、今年は何で120%の目標を描いたんですか?」と。それってコミュニケーションが全然違いますよね。

基本的には悩みがあるから相談にくるものだと思うので、悩みがない人に対しては僕から何を言ってもしょうがない。ニーズに対して答えていく感じです。とはいえ、言いにくいこともあると思うので、こちらの聞く力も必要なんでしょうね。

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ほとんどのサービスは、広い意味でマッチングサービスだったりする

ー ご自身の強みは何ですか?

僕はエウレカでの立ち位置は、完全に事業サイド。新規事業は全部自分でつくるという、プロデューサーも兼務していたんです。なので、事業サイドはどちらかというと強いかなぁとは思っています。また、会社がマッチングビジネスをしていたので、マッチング系はやはり強いと思います。ただ、マッチングは広義だと思っていて、ニュースサイトもニュース記事とユーザーのマッチングですし、クラウドソーシングもタスクを発注する人とこなす人のマッチングですよね。なので、大体のサービスが当てはまってくるので、強みを活かせるポイントも多いと思っています。
「Pairs」も「Couples」も、両サービスともアプリだったので、アプリのUXやプッシュ通知などの細かい所、プロモーションなども得意かなぁとは思ってます。
ただし、この業界はトレンドがめちゃめちゃ早いので、今の起業家のほうが深く知っている部分も沢山あり、一概には言えないですけどね。

あと、僕は組織が結構好きですね。社員の気持ちをつなぎとめる施策だったり。
あ、でもこれあまり記事では言いにくいですね(笑)あまりそうやって言うと、(社員から)「すげー考えてやっていたのかよ!」と思われちゃいますね。

社長がこうあったほうが、社員がついてくる、とかね。

ー でもそれ、すごい大事なポイントですし、みんなも気になると思うのでぜひ教えてください!

社長が何のために会社をやっているんですか、と聞かれた時にどう回答するべきなのか、など本当は色々あると思うんです。個人のプライドなのか、社会的意義なのか、みんなで一つの成果を残したいからなのか、などなど。

ー ちなみに、赤坂さんはどう仰っていたんですか?

僕は、心の底から一緒に働いてくれていることに感謝していたんです。

うちは資金調達を一切してなかったので、最初はお金がないじゃないですか。だから事業を作るために、受託開発で稼いで自社サービスに投資していました。稼いでくれている人がいたからこそ、サービスを作れたんです。1円も稼いでいない部隊を、支えてくれる人たちがいたってことです。つまり、このサービスをやりたくて入ってきたということではなく、この会社を支えようとしてくれたということなので、感謝してもしきれないですよね。

また、会社が大きくなっていく過程でも、個人の人生のゴールや夢があるじゃないですか。例えば「20代後半で自分で会社をやりたい」だったり、「バイネームで指名されるWebのプロデューサーになりたい」だったり。それまでの時間を提供してもらっている側としては、絶対に個々人のゴールに行き着くような会社のカーブを作っていかないといけない。”あの”会社の”この”ポジションで”こんな”チャレンジをしていた人、”だから”、次のキャリアがあったりする。みんなの時間をもらっているということに経営者は責任を持つべき。ここは大事なポイントだと思います。

ー なるほど…そういうことを伝えていたのですね。

そうですね、うちは全社会を毎月やっていて、社長トークのような時間を30分くらいつくっていました。また、Facebookグループがコミュニケーション母体だったときは、僕がつぶやく部屋をつくって、よくつぶやいていました。コミュニケーション大事派、ですね。

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最強のチームを作ってグローバルで戦いたい

ー 人生を通して実現したいこと、または大切にしたいものは何ですか?

そうですね、まず、また起業したいです。エンジェル投資家をずっとやっていくという視点では、今はないので。まだ33歳ですし、またトライできると思うので、自分で何かやりたいですね。

会社って何のためにやるのかというと、社会をより良くするためだと心の底から思っていて。その上で必要なのは、事業プラン、そしてそれを作っていくチームです。なので大切にしたいものでいうと、やはりチームですかね。一緒に働く人たちとそのチームで何かを目指していくというのが好きです。会社って個人戦ではなくチームプレイなので、最強のチームを作っていきたい。

ー 次はやはりグローバルにですか?

グローバルにやりたいですね。もう日本国内だけというのは興味はありません。
エウレカも、もう台湾やシンガポールに子会社もありますし、今年は香港・韓国・シンガポールにもサービス展開します。
そもそも買収されているのがアメリカの会社ですし、グローバル視点を持てたM&Aからの2年間の経験は大きいです。この経験をしっかり活かしたいですね。

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ー 大事にしている言葉や軸はなんでしょうか?

「結果が全て」ということです。結果がでる過程って、どうしても潜るので辛いと思います。その過程で、多くの人とネットワーキングをしてみたり、ピッチコンテストに出てみたりと、色々すると思いますが、それらは究極どうでもいい。人前に出ることが重要であったり、ネットワーキングすることが重要なのではなく、すべては結果のためにしているべきであって、結果に結びつかないそれらの行動には意味はないんです。なので、結果だけを意識すべきと自分で毎日思っていますね。
結局、結果が出ていないと、誰も認めてくれない。サービスが流行って、初めてサービス名が売れ、それを運営している会社に目がいき、その経営者に目がいき、なのでメディアでの露出が増え、結果、またサービスが伸びるんです。
また、よく結果を説明してくる人がいるんですが、結果って説明するものじゃないんです。第三者が勝手に感じることが結果なのであって、自分が思う結果の説明はいらないんです。

ー ありがとうございました。最後に、起業家へメッセージをください!



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