場数があれば、誰でも成長できる。挑戦する人だけが、場数を踏める。 ー 有安 伸宏


AngelBaseによる、エンジェル投資家インタビュー第ー弾は、有安伸宏さんです。

有安伸宏さんは、大学在学中の19歳の時に起業して以来、今まで4つ会社を作り、うち3社のExitに成功しています。インターネット領域の創業経営者として、あわせて15年の経験があり、直近に作った会社は、習い事のレッスンのマーケットプレイスを運営するコーチ・ユナイテッド株式会社。同社を2013年にクックパッド株式会社へ売却、2016年2月に社長を退任し、その後、エンジェル投資家としても積極的に国内外のスタートアップの経営支援を行っていることで知られています。




起業家、そしてエンジェル投資家になった背景とは?

ー 最初に起業しようと思ったきっかけは何ですか?

中学生の時にWindows 95が発売されて、インターネットに初めて触れて、すごい世界だなと衝撃を受けたのが原体験です。最初の起業は19歳の大学1年の時で、起業したいというよりも、何かインターネットですごいことをやりたいな、と高校生の時に思って慶応SFCへ進学しました。

ー では、近くに影響を与える人物はいらっしゃいましたか?

祖父母など、親類に経営者はいましたけど、当然ながら世代的にインターネット系ではなかったですね。もちろん祖父母や両親の影響もあったけど、やはりそれよりも、「インターネットすげー!Webすげー!」というのが大きかったです。原体験で言えば、幼稚園の時に流行っていたロッテのシール付きお菓子「ビックリマン」をいっぱい買って持っていたんですが、それを高校に上がりたての時、ヤフオクで売ってみたら、収集マニアの人がたくさんいて、プレミアがついて一枚4万円で売れました。物もちが良い方なので、きれいな状態で何百枚も保管していたので、結局ぜんぶ丁寧に売りさばいて、学生にしては結構なお金が預金通帳に振り込まれて、衝撃を受けました。会ったことも、話したこともない人とビジネスができるインターネットがすごい、ヤフオクがすごいなと思ったのは、自分にとって間違いなく一つの原体験です。

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ー はじめてのエンジェル投資は?

初めてのエンジェル投資先は、マネーフォワードでした。取締役の瀧くんが、大学の同期で、スタンフォードでの留学から帰ってきて会社を辞めて起業するというので、相談を受けたのが最初のご縁です。当時、自分はコーチ・ユナイテッドを創業して数年経ったタイミングで、手元に余裕資金はそこまでなかったけど、社長の辻さんにも瀧君にも野心があって非常に面白いチャレンジだと思ったので、出資させていただきました。マネーフォワードの今のオフィスは広くて立派ですが、当時は、高田馬場のマンションの狭い一室でした。社員も数人しかいない、非常にこじんまりしたオフィスで、辻さんと瀧君が野心にあふれた表情でニコニコしていたのを、今でもよく覚えています。

まずは市場選択、そして気合と覚悟

ー これまでにどんなスタートアップに投資しましたか?

今30社くらい投資しています。ざっくり言って、国内と海外の割合が1対2くらい。すでにExitに成功したところでいうと、KDDIが買収した、妊婦Q&Aアプリの「ママリ」を運営するコネヒト社。投資先から希望がないかぎり、投資したことは積極的にはアナウンスしません。なので、ステルスで投資して、水面下で一緒に事業を作っているところも結構多いです。
投資金額の規模で言うと、数百万円単位というのがエンジェル投資での一般的なケースですが、もう少し大きな数千万円単位での出資も、去年あたりから積極的に行っています。金額感には特にこだわらず、事業を成功させるために必要な資金がいくらか、そのリスクを自分が個人としてとれるかどうか・とりたいかどうか、という点で考えています。

ー 投資する際に、何を重視しますか?

まずは、何より、市場選択。どんなにチームが優秀で、素晴らしいテクノロジーがあっても、市場選択がダメだと、成功しない。市場選択がダメというのは、PMF(プロダクト・マーケット・フィット)がどうやっても見つからないとか、ユーザ価値とコスト構造の両方で発明の余地がないとか、テクノロジーの普及段階としてまだ早過ぎる、とかです。市場選択が間違っていても、起業家の気合いと覚悟が素晴らしければ、良い市場へアジャストしていくことも勿論ありますけど、最初から筋の良い市場選択してるなら、それにこしたことはないですよね。正しい市場を選び取る力も、起業家の重要な資質の一つなので、その市場でのチャレンジに人生を賭けることに至った思考プロセス、論理性は詳しく聞きます。

ー 起業家のどんな点を見ていますか?

市場選択の次は、起業家の資質。逃げずにやりきるハラが決まってるかどうか。『気合』と『覚悟』がまずあって、そこから生まれてくる『柔軟性』と『学ぶ力』が大事ですね。たまに、100人に1人くらい「この人だったら何やっても成功するだろうな〜」と思う人もいて、そういう場合は、バリュエーションに関係なく投資するべきだ、という面もあるなぁと思う今日この頃です。

ー ちなみに、他のエンジェルへ紹介するようなことはありますか?

あります。市場領域の得意不得意があるので、ある領域に関して僕よりももっと得意な人がいると思えば、友達のエンジェル投資家を紹介したりします。仲が良いエンジェル2、3人で共同投資してチームとして起業家と事業を育てる、というのは現実的なチーム体制としてすごく良いと思います。エンジェル同士が遠慮して意見を言わないようなことがないようなメンツにすることが大事ですね。事業の成功が至上命題で、そのためには株主であるエンジェルも手駒に過ぎないので、使い倒して欲しいです。

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ー そうなんですね、直接知らない人から連絡が来たりしますか?

Facebookメッセンジャーでよく来ますね。普段知り合わない人と出会えるので、そういうのは常にウェルカムです。基本的には、あまり損得考えないようにしてます。考えると、とにかく自分の時間とエネルギーがとられるので、つらくなってしまうから・・・。日本のスタートアップ・エコシステムへの貢献、人助けだと思って、無料コンサル的なことをしています。オンラインでやりとりすることもあるし、対面で会うこともあります。エンジェル投資は、自分にしかできないオリジナルなペイ・フォワード的行為だと思うんです。お金を送るだけの寄付だったら誰でもできるけど、社会の仕組みを大きく改善する可能性があるスタートアップをお金とノウハウの両面から支援する方が、自分にとってオリジナルでエキサイティングです。なので、出資はしてないけれども相談にのってるスタートアップも何社かあります。

ー 来る案件に対しての出資の割合ってどれくらいなんでしょうか?

ざっくり、20社に1社くらいです。趣味ではなく、真剣に投資検討を行うとなるとこれくらいかそれ以下の割合に収斂するのかな、と思っています。今年はもう少し積極的に投資しようと思っていて、今も数社同時並行で検討中です。以前は、一般コンシューマ向けの事業を中心に投資していましたが、最近は、業界特化型のバーチカルSaaSなど、僕が経営経験がない法人向けサービスを開発する会社についても、ユーザ獲得のエコノミクスの組み方や、組織の作り方、資金調達等々について、サポートできることが割とあるな〜、ということに気づいたので、今はとにかくドメインは限定せずに、様々な領域の会社のファウンダーとお会いさせていただいています。

ー 投資するときに、どんなリターンを期待しますか?

まず、自分は趣味としてではなく、プロとしてエンジェル投資をやりたい。趣味的なマインドだと、バリュエーションの相場も特になく、「うむ、君に賭けよう!」とポーンとお金が出されることもたまにあり、それはそれでエコシステムの多様性という意味では良いのですが、そういうスタイルは自分にはフィットしませんでした。
期待リターンって、例えば、10社出資したときに、9社うまくいかなくても1社が成功して、投資額が100倍になって帰ってくれば、その10社への投資分は10倍になったことになりますよね。いわゆるごく普通の、ベンチャー投資の醍醐味であり、ポートフォリオというやつです。そういう「全ての投資先企業が、成功するわけではない」という残酷かつ現実的な前提のもと、「自分が何割打者になりたいのか」を考えながら投資をしています。
自分が10社投資したときに、1割打者でいいのか、小さくてもいいから投資先の大部分をExitまでもっていきたいのか、という点を、日本の企業に投資する場合とUSの会社に投資する場合とで、考え方を180度変えています。より具体的な投資戦略は、ここで言うのもアレなのですが、日本国内については狙っている打率はかなり高めです。お金以外に自分の時間も惜しみなく投入するので、自然とそうなります。非常に大雑把な対比になりますが、USがハイリスク・ハイリターンな市場だとしたら、日本はローリスク・ミドルリターンな市場と言えると思います。

ー ちなみに、一社への投資額はどのくらいなんですか?

ケースバイケースなので一概に言えませんが、500万円〜5,000万円の間くらいです。経営陣の株式持ち分を高く維持することが、事業が長期で伸びるために必要だと思っているので、外部株主の持分比率が高くなりすぎる問題がある場合は、数百万円とかの少額におさえる。資金需要が大きくて後は大きく伸ばすだけ、というラウンドであれば5,000万円から1億円のレンジでも検討します。ケースバイケースです。

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投資も経営も、場数があれば誰でも成長できる

ー エンジェル投資家として、どう勉強してきましたか?

やはり、経験あるのみ、と思います。起業も投資も、どんな人でも、場数を踏めば必ず学べる。しかし、「場数」が希少資源なので、学びにくいというジャンルのものだと思います。
自分が、投資家として場数を踏ませていただきながら、日々考えているのは、どのようなスタンスで起業家と接すると、事業の成功確率が高まるのか。起業家の目線を引き上げるコミュニケーションとは、どういうものか。人様の会社に投資させていただいて、毎月ボードミーティングを一緒にやってきて、やっと少しずつわかってきました。
自分は、起業家の目線にたって、事業の成功に貢献できる「スゴい」エンジェル投資家になりたい。かと言って、経営現場にいない外部投資家がガツガツと口や手を出すことが良いかと言うと、決してそうではない。むしろ事業にマイナスだということは、過去の事例が証明しています。
だから、元々が起業家気質の自分に必要なのは、「助けを求めてきたときにだけ、助ける。出しゃばらない」「意見や感想は出すが、絶対に強要はしない」「賛成するよ。と口では言いながら、反対オーラを全力で出さない」などの謙虚な姿勢です。さもないと、起業家や事業の潜在的な成長力を、先回りして奪いかねないと考えています。死なない範囲であれば、遊びが必要、失敗も必要、と長期で考えています。

ー 具体的にやっていることは何かありますか?

とにかく、記録しています。あるスタートアップへの投資を検討した時は、市場選択の筋の良さ、PMFの根拠、チームの一枚岩感などの項目ごとに、自分の心のメモをエクセルの表に細かく記録しています。今後、僕が投資を見送った会社の中から、大きく成功するところが必ず出てきますよね。そのときに、過去に自分はどういった判断をしたのか、それはとるべきリスクだったのか、とらなくてよかったリスクなのか、ということへの洞察が得られるはずです。これを繰り返せば、確実に正しく学べます。「自分の判断を、後から客観的に振り返って反省する」という、極めて普通なことですが、これを丁寧にやっているエンジェル投資家は、あまり見たことがありません。でも、過去一年間の自分の投資判断をズラーッと並べるだけでも、エンターテイメントとして結構面白いので、友だちには「メモって表にしとくと、すごくいいぜ!」と薦めてます。

ー ちなみに投資家向きな人ってどんな人だと思いますか?

「名選手、名監督にあらず」と同じで、名経営者、名投資家にあらず。というのを最近感じています。VCで、自身が起業経験0でも活躍している素晴らしい投資家の方もいますし、性格的に投資家に向いている人、そもそも全く向いていない人、がいると思います。
例えば、アドレナリン中毒なタイプの起業家は、基本的に「待ち」で「任せる」スタンスが求められる投資家は向かないですよね。で、エンジェル投資家に向いてる人って、人に複雑なことを教えるのが得意とか、コーチとして選手の心の動きがわかるとか、そういう人だと思うんですよね。適切なタイミングで適切な質問を投げかけながら、あくまで起業家主体で成長戦略を描く。不意に訪れた大きな問題への打ち手を、膝を突き合わせて一緒に打ち手を考える。傲慢にならずに、これを何年も粘り強く繰り返す。僕はやはり、自分のボスとして2年以上一緒に仕事させてもらった穐田さん(クックパッド社の前社長)の影響が大きいです。穐田さんはすぐれた投資家であり経営者であったから、僕はその2つの仕事が決して相反するのではなく両立するのだと思うことができています。

困難を乗り越えてこそ素晴らしい経営者になる

ー 投資した中で素晴らしいと感じた起業家はいますか?また、その共通点は?

みんなそれぞれ、素晴らしいです。より正確に言うと、最初は心もとなくても、素晴らしい経営者へとあっという間に成長していきます。起業したては、みんな目がキラキラしていて、「いやー楽しいっす!最高です!」って感じだけど、数年経過して、事業がスケールしない、資金調達がうまくいかない、共同創業者がやめる、といったよくあるHARD THINGSに立ち向かった後に、それを越えて次の小さい希望が見えて来ると、経営者としてレベルがあがってくる。表情が経営者のそれになってくる。顔つきが本当に変わります。そういうのを見るたびに、背筋が伸びる思いがします。勝負し続けて困難に向かっていくと、絶対にみんな成長するんですよね。経営者として凄みがましてくる。場数さえあれば、逃げなければ、誰でも成長できると思います。

ー 最近はどのジャンル・分野・業界に注目していますか?

今年は大きなトレンドがなく、様々な領域で中小規模のイノベーションがあるような感じの状況と考えているので、特に限定はせず、幅広い領域のスタートアップと会っています。会うことが多いのは、Eコマース、決済/ウォレット/レンディング、マーケットプレイスなどですが、それ以外の領域のスタートアップとも引き続きどんどんお会いしたいと思っています。

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投資も経営も、スポーツをするように爽やかにやりたい

ー 起業する際のご自身の強みは?

何も強みなんて無かったですね。今起業している20代の若手の起業家たちと沢山会ってみて、はるかに自分より優秀だと感じますね。ただ、僕が起業した時には、他に選択肢がなかったと思っていて、とにかく自分の人生をここで成功させないとどうしようもないという強い気持ちは持っていたから、踏ん張ってました。背水の陣、何が何でも成功させてやるんだという覚悟が大事ですね。

ー では、有安さん自身が考える、性格上の強みはなんですか?

楽観的で、くよくよしないところですね。中学はバスケで、高校・大学はアイスホッケーと、ずっとスポーツをやってたので、スポーツをするように、経営したり投資したりしますね。ネチネチしてるのがすごい嫌で、チーム皆でとにかく勝って、よっしゃー、いえーい!というのがすごく好きです。日本的な、商売とは、仁義とは、みたいな浪花節なのはあまり好きじゃないですね。起業したり投資したりして、うまくいかなかったらしょうがないじゃないですか?ナイストライ!って感じで、スポーティに爽やかにやって大きな事業を作れたとしたら、最高です。




どんな問題でも24時間いつでも連絡してきてほしい

ー 具体的に、投資先へどのようなサポートをしていますか?

ケースバイケースなので、求められたらそれに答える感じです。求められてもいないのに押し売りしない。そんな上で、まず大事にしているのは、仲良くなること。一緒に飲みに行ったりして仲良くなって、遠慮なく何でも話してもらえるような関係性にまずなる必要がある。スタートアップ経営って、大きい悩みと、小さい悩みの両方が定期的に発生するのが普通で、例えば、組織や人の話で言えば、「すごい優秀なんだけど、いつも必ず遅刻をしてくる業務委託契約のエンジニアの人がいて、そういう人との人事面談って、どういう風にしたらいいんですか?」っていう小さい悩みから、「共同創業者が辞めたいと言っていて、どうしよう?」という大きい悩みとか色々あります。全部、それなりに起業家の時間とマインドをもっていきます。で、こういうのって、経験則と、場数を踏んでいたら一瞬で答えがでるような場合もたくさんあるから、どんな問題でも24時間いつでもチャットで連絡してねって起業家へ伝えています。答えられる範囲でその場で返信するから、と。結構みんな、すごい細かい話を聞いてきてくれたりしてくれるので、良い感じです。こちらはほとんどコストがかからないので。とある起業家とは、過去のFacebookメッセンジャーの履歴をみたら、2万件のチャットログがあって、女子高生のラインかよ!wって思いました。

ー 2万件のQ&Aは凄いですね・・その他にも挙げられる具体例はありますか?

基本的な経営の仕組みが出来てない会社には、そのベースを作るところから一緒にやります。経営の仕組みとは、目標管理、組織図、会議体、予実管理とかのごく初歩的な部分です。動かしてるお金が小さいので、大企業のように精緻に理路整然とやる必要はないですが、最低限の仕組みがないと、経営にサイエンスが生まれてきません。サイエンスで経営判断を行えるところまでは、数ヶ月ですぐいけると思うので、そういう会社とは毎月定期的に会って1回2時間のミーティングをやったりもしています。役員会というよりも、僕もその場でラップトップを開いてエクセルを手でいじりながら一緒に成果物を作るので、共同作業時間みたいな感じです。

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ー 先日アフリカにも行かれていましたが、全世界的に投資していかれるんですか?

投資先は、日本とUSがほとんどで、他の地域はまだ調査段階です。自分として制約条件を設けずに、あらゆる国のスタートアップも、投資検討していきたいです。知らないことだらけなので、単純に面白いです。海外の投資をすすめるごとに、日本の新興市場への上場ハードルの低さって素晴らしいんだな!と思ったりと、日本のガラパゴス性に気づくことは多いです。

発言ではなく行動に注目する

ー ちなみに、有安さんが人を雇う時に見ているポイントは何ですか?

発言よりも、行動を見ています。人事面談で時々きく「あなたの強みは?」とか、「志望動機は?」は、かなり意味が無い質問と思っています。その人が過去にとった行動、成功と失敗の両方の詳細と、その背景にあるロジックや感情を聞きます。というのも、人間って基本的には過去の成功体験に縛られると思うんですよね。これまで身につけたスキルを封印、またはアンラーンして新しい考え方やビジネスの進め方を選び取るのって、生半可な覚悟ではできない。なので、過去のその人の成功事例を、少し形を変えて、次のステージで応用することができるのかどうか、そのために必要な柔軟性をもつ人なのかどうか、を見ます。端的に言うと、行動の癖とか、仕事の進め方、変わることのない価値観とかを、自分の中で言語化するようにしています。

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一番近くの味方・お守りのような存在に

ー エンジェル投資家として、どのようなスタンスで起業家と距離を保っていますか?

事業を成功させることが何よりも重要で、そのために、創業チームのモチベーションが最大化され続けていることが大事。一企業体であるVCや事業会社と比べてできることとして、個人だからこそ、長期的に彼らに寄り添えるように意識しています。VCにはフォローオン投資(次のラウンドでの、追加出資)というエンジェルにはない重要な機能をもっているので、それ以外の身近なところから力を貸せる「一番近くにいる味方・お守り、いつでも使える手駒」みたいな存在として、VCと役割分担ができるといいな、と思っています。

ー 心がけている、おすすめできるストレスマネジメントはありますか?

「睡眠」と「食事」と「運動」。これらは結構投資先の社長たちにも言っています。普通の健康管理の基本ではあるものの、タフな局面だと簡単にないがしろにされます。あとは、「酒やキャバクラなど、夜の街へ逃げない」こと。そういうのが元々好きではないタイプの人のはずなのに、事業がなかなかうまくいかなくて、その逃避行動で夜の街へ通ってしまう人って、界隈にたまーにいます。これは、つらい現実からの逃避行動という心理的な側面がありますが、中毒性があるし、界隈ですぐ有名になるし、翌日のパフォーマンスも下がるし、良いことがない。きちんと「睡眠」とって、朝起きて日光に浴びて、三食をとって、定期的に運動すると、経営者として良い状態を保てますね。

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自分の人生を生きろ。納得感が全て

ー 格言は何ですか?または、人生で大事にしていることは何ですか?

格言は特にないです。でも、僕もそうありたいし、起業家にもこうした方が良いよって言っているのは、「自分の人生を生きる」こと。人の目を意識するとか、投資家からの期待に応える、とかよりも、自分でやりたいことをやる人生を、悔いなく生きた方が絶対に良い。そういう人が一人でも多く世の中に増えるといい。自分が納得して、腹落ちして、勝負している人はやっぱり強いんですよね。どんな困難に立ち向かっても、覚悟が決まっていればそこで踏ん張って乗り越えていけるので、そういうテーマを見つけるとか、すでに決まっているテーマでも自分の腹落ちをより深める、コミットメントを強くするための気づきを見つけようぜ、みたいなことを言いますね。それが結局幸せだし、辛くても「これは自分が選んだ道だから」って思って納得感を持って頑張れるわけで。そのために、自分との対話も大事にしてますね。

ー そんな「自分の人生を生きる」中で、実現したいことはなんですか?

僕あと80年くらい生きるんですよ、多分。長生きの家系なんです。80年もあるから、自分が生きた証、社会に大きなインパクトを与えたいと思っています。そういう意味では、僕はまだ何も成し遂げていないので、もっともっとチャレンジしたいと思っていますね。ただ、自分の人生も、時間も、能力も有限なので、自分ならではの相性の良い領域を早く見つけること。自分の人生を消費するののコストパフォーマンスが最大の、良い角度のチャレンジをしていくのが大事だと思っています。自分の人生の使い方として、一番納得感の強いものになるような、そういう挑戦をしたいです。一つに絞る必要もないし、1年間のプロジェクトと30年間のプロジェクトを同時に走らせてもいいし、既成概念にとらわれずに、自分らしいチャレンジをできればな、と考えています。

ー 最後に、起業家へメッセージをください!



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